子供に「お友達作っていい?」と聞かれてうなずけない。子供の心と親の苦悩。
コロナウイルス感染拡大防止による、緊急事態宣言。
我が家は、その緊急事態宣言が出る少し前、転勤で大阪から福岡に引っ越してきた。
どちらの県も、コロナによる感染患者が日に日に増え、予断を許さない状況。
それでも、福岡に引っ越してきたばかりの時は、日中近くの公園に行っていた。
まだ私自身に、コロナウイルスに対しての恐怖心と、外出に対しての緊張感が薄かった時期だ。(遅いかもしれないが)
我が子は、3月に4歳になった長男。
(本来4月から幼稚園の年中組になる予定)
そして、わんぱくな長男の背中をいつも追っている、女の子像を見事に打ち破ってくれた、やんちゃな長女(1歳3ヵ月)
緊急事態宣言により自粛生活が強化され、周りにうつすことも含め、母親として子供にウイルスを感染させてしまう恐怖心が強くなり、昼間の公園をやめて、1日中家にいる生活にシフトした。
長女は1歳3ヵ月とは言え、早々に歩き始めた子であったためか、家の中で走り回ったり大暴れ。
4歳の長男は、もともとの性格も外遊びが大好きなわんぱくなタイプで、さらに年齢的なもの、性格的なものの足し算で、一日中おしゃべりが止まらない。
自粛性格を始めてから、長男のおしゃべりはより激しくなり、また二人が家の中でけんか(といっても、長男が一方的に、妹を怒る)することも増え、親である私も限界に達している。
とは言え、一番に守るべきものは子供の命。
それは、言わずもがな。
が、しかし。
このままでは子供たちの心はテレビにばかり支配されるし、なによりこの生活が、2人の子供たちの成長に著しく悪影響を及ぼしそうだ。
なので、やはり短時間だけでも外に出ることにした。
ただし、早朝か、夕方17時以降。
早朝に広い公園に行った時は、ほとんど人はいないし、たまにすれ違う人との距離も十分だし、何よりも久しぶりに清々しい気分になれた。
朝日を浴びながら、これだったら毎朝続けよう!と決めたのに、なかなか難しい。
ならば、夕方に散歩しようと、早朝散歩をしなかった日は17時以降に近くの公園を散歩することにした。
基本は、長男はストライダーで、長女はベビーカーというスタイルで散歩するだけ。
早朝ほどではないが、人も少なかった。
でも、そこまで広い公園ではないので、行き交う人との距離も近いように感じた。
以前、公園に遊びにいってた時、長男は知らない子でも自ら進んで話しかけ、友達になって遊んでいた。
そういう姿は私にはあまり似ていなく、親としては嬉しくもあり、何となく誇らしいような気持ちでいた。
そして、今日夕方の公園にいったら、いつもより人がいて、長男は嬉しそうに
「ママ、お友達作って、遊んでもいい?」
と聞いてきた。
こんなことなんて、以前であったら私に聞く前に、勝手にやっていた。
多分、最近、昼間の公園や散歩に行かないので、その理由を説明したときに、私がこう話していたからだろう。
「新しいお友達は新しい幼稚園でたくさんできるから、今は我慢しようね」
「今、コロナウイルスがたくさん増えないように、今はたくさんのお友達と遊ぶのはやめておこう」
4歳になって程ない長男が、この言葉の意味をどこまで理解しているか分からなかったが、今日公園で私にわざわざ確認してきたときに、「この子はこの子なりに、この状況を受け止めているんだな」と感じた。
1日中家に閉じ込められて、やっと夕方大好きな公園に来て、封鎖された遊具の周りを一生懸命ストライダーで駆け回る。
同じ年くらいの子を見つけて、私の言葉を思い出しながらも、やっぱり一緒に遊びたい気持ちが勝ち、私に確認してきたのだろう。
でも、私はその長男の問いかけに何と答えればよいか分からなかった。
一緒に遊ぶとなると、今までだったら砂場にいったり、追いかけっこだったり。
その程度だったら大丈夫なのだろうか?
距離の問題もあるだろうが、子供にはそこまで分からない。
4歳だったら手をつなぐこともある。
それをされてしまった時、その場で、それはやめておこうと子供たちに言うのは酷である気がする。
取り留めもない思いが私の心をぐるぐると回っていて、とりあえずその場しのぎの回答をしてしまった。
「今日は遅いから、お友達も帰るよ。やめておこう。」
涙目になった長男を見て、胸が苦しくなった。
この目に見えないウイルスの脅威は、人によって感じ方も違うし、自粛の仕方も各家庭違うと思う。
本当にまったく外に出さないで、家の中だけで、何とか過ごせる上手なお母さんもいると思う。
また、ウイルスもちろん怖いが、それとは別問題に、子供が一日家の中でいることで、親子双方のストレスが爆発して、公園で遊ぶくらい、と毎日短時間でも出ているお母さんもいるだろう。
この線引きは、もはや自己責任。
うつされるだけでなく、自分の知らない間にうつしてしまうかもしれないという恐怖も存在する。
だから、余計に悩むのだろう。
引越しする1か月前に、幼稚園はコロナの影響で春休みまで休校が突然決定し、仲のよかった友達にも、きちんとした挨拶もできないまま、我が家は引越しした。
新しく引越したら、そこでまたお友達を作ろうね、と話していたのに、引越した途端、まともに外に出してもらえないし、出てもお友達とは遊べない。
この状況を子供の心はどう受け止めているのだろうと心配になる。
率直に、我が家だけの話でいえば、この先も転勤があるのだが、長男にとって引越しがトラウマになりそうで怖い。
引越しと、お友だちとの別れというのを子供なりに必死で受け止め、新しい土地にきたのに、「友達をつくる」ということをその母親が悩んで、阻んでしまっているような状況。
目に見えないこの恐ろしいウイルスが、家庭や、子供たちの心の成長までもを蝕んでしまわないように。
どうか、早く終息しますように。
早く、当たり前に、子供が友達を作れますように。
当たり前に、子供同士が遊べる世の中に戻りますように。